建物解体に思う / 浜松市立看護専門学校
2018年 12月 13日
この仕事について39年余り。長い間、建築設計をしていますと、自身が初期の頃に設計した建物、特に商業施設などは老朽化や役目を終えたという理由で、残念ながら解体されるようになってきています。
今回知ったのは公共施設なのですが、校舎本館は築44年と老朽化のうえ、敷地を病院(浜松医療センター)用地に転用するため、築24年の東館を含め全て解体されるとのこと。そして別敷地に建てられている新校舎は完成が間近で、現校舎は来月には解体されると聞き、寂寥感に苛まれる中、急遽見納めに行ってきました。
この浜松市立看護専門学校の東館設計は25年前、新卒以来所属した事務所での最後の設計担当の仕事でした。場所は佐鳴湖畔の事務所から徒歩で10分程度の距離と近く、そして竣工年度の卒業式に招待していただいたりと思い入れも深く、出身事務所から独立後もたまに近くを通る時には、前面道路を通り車窓から覗いて通過したものでした。
そして今回は学校側のご厚意で、現況の写真を撮らせていただきましたので、このブログに載せ、まもなく消えゆく校舎の記憶を残したいと思います。

現在、パースはCGで制作しますので、今では見ることが出来なくなった手描きの水彩画パースです。
東館中央ホールの円形に合わせ、外構も同心円上に広がり、東館を包み込むように、水盤・ベンチ・テラス・植栽帯の順に配置しました。

植樹後、24年経ち樹木はかなり成長しました。円形カーテンウォールのアルミパネルのディテールは気を遣いましたが、24年を経た現在でも汚垂れは出ていないようです。

内部の教室配置に合わせ、中央ホールに円形カーテンウォール、両サイドを炻器質タイル張の外装によりシンメトリーな外観としました。カーテンウォール手前の水盤の水が抜かれ、カーテウォールの映り込みは撮影出来ず残念。後に付けられた、外壁に2筋流れる空調冷媒管が痛々しい。

当時、東館増築に伴いアプローチや正門や案内サインが造り変えられました。塀のコンクリート打放し面にビシャン叩きで学生の飛躍を表した模様、防汚剤の塗布をされていましたが、24年の歳月を物語るようにかなり汚れてしまい、洗ってあげたい思いに駆られました。

当時、浜松市役所公共建築課に提出した資料には、正門の設計コンセプトとして 「将来、看護婦をめざす学生を育成する施設として、看護に必要な包み込むような優しさと3年間の学生生活の成長をコンセプトに、柔らかい曲線を基調に表現しました」 とありました。今読むとこそばゆい感がありますが、当時は精一杯考えてのコンセプトだったんだろうと思います。
※以下、平成5年(1993年)竣工写真より

【外観 南東面】
外壁は炻器質タイル張、水平ボーダーは御影石本磨き張、円筒部はアルミカーテンウォールです。

【外観 鳥瞰】
手前が東館、奥が本館です。右側の建物は浜松医療センターです。
駐車場の車が当時を物語っています。

【外観 北面】
手前が浜松医療センター駐車場。奥の右側が体育館、左側が本館です。

【外観 北面】
前面道路から緩やかな坂道を上がりキャンパスの正門です。東館増築にあわせ、坂道にインターロッキングブロック敷の歩道と、ナースを表すN字の目地を入れたコンクリート打放しの植栽帯を設けました。誰も気付いてくれなかったと思いますが。

【正門】
正門と案内サインです。

奥の廊下との仕切り壁は採光を確保するためガラスブロックを用いました。

円形カーテンウォールを通し中庭を望む。

2階吹抜側の廊下にベンチが造り付けられました。カーテンウォール越に浜松医療センターが見えます。

フリーアクセスフロアにより床下配線の自由度が高まりました。

標本棚が造り付けられました。

当時、竣工式でいただいた落成記念リーフレット。記念品には携帯電話がまだ普及していない当時を物語るように、テレフォンカードが差し込まれていました。



