鎌田神明宮 古代からの継承
鎌田神明宮本殿は典型的な神明造りの建築ですが、60年ごとの大遷宮の年に建て替えられるようです。なお20年ごとの小遷宮では境内社殿などが建て替えられているようです。
そして気になったのが本殿や拝殿の千木(ちぎ)の切り口です。千木とは神社建築で見られる屋根の棟両端にあり交差している板材ですが、当初は破風をそのまま伸ばし交差させていた部分の名残だそうです。そして千木の先端が垂直に切られている外削ぎでは男性の神様が祀られ、千木の先端が水平に切られている内削ぎでは女性の神様が祀られていると記憶していました。
しかし鎌田神明宮に祀られている豊受大神は女神ですが、拝殿の千木は外削ぎになっています。なぜだろうと思っていると、幸いにも神社関係者の方と思われる女性が拝殿前を行き来しておられましたので伺いました。すると「本殿の千木は伊勢神宮の豊受大神の社殿に倣っています」 「伊勢神宮は外宮も内宮も女神を祀っていますが外削ぎです」とのことでした。「そういうことでしたか」ということで、その後、名刺交換させていただき宮司さんだと分かり大変恐縮しました。合わせてブログ掲載の承諾もいただきました。
その後事務所に帰り調べましたが、千木の取り付く社殿は伊勢神宮系の神明造り以外に出雲大社系の出雲造り、春日大社系の春日造り、住吉大社系の住吉造りがあり、それぞれ千木に関して違いがあるようです。古代からの造りを忠実に継承している社殿、古代の工匠はどんなことを考えこの造りにしたのか?そしてこれからも何百年、何千年 継承されるであろうこの造り、それだけに興味が尽きません。
なお、例年この時期に行われている例大祭ですが、屋台の参集曳き回しや余興・投げ餅は行われませんが、17日は宵祭が午後6時から、18日は大祭が午後1時から執り行われ、磐田市立東部小学校5,6年生の女子による浦安の舞が奉納されるようです。
【拝殿】 宮司さんのお話では拝殿は築40年 丸柱は掘立柱になっているとのことでした。屋根は耐久性を考慮し銅板葺き、外壁は桧下見板張りとなっています。そして千木や棟上の5本の鰹木(かつおぎ)は銅板が巻かれ、小口は手入れはされていないとのことでしたが40年経過しても金色に輝いていました。
【神明造 各部名称図】 立面図による説明図ですが側面図の千木は内削ぎになっています。内削ぎの場合は鰹木の本数が偶数になります。
【一ノ鳥居】 元は写真左側の道路(参道)にありましたが、道路拡張に伴い移設されました。この一ノ鳥居から二の鳥居まで北に1.2kmもの道のりがあります。
【二ノ鳥居】 ここから三段上がり本格的な参道になります。両脇には桜が植生しています。春にも訪れたいですね。
【三ノ鳥居】 ここでも三段上がります。
【神門】 二ノ鳥居から300mほどの参道を歩き六段上がり、手水で身を浄め神門をくぐります。
【拝殿】 本来の茅葺きのむくり屋根を銅板葺きで表現しています。棟の千木と鰹木が象徴的です。
両脇には「狛犬」が神社を護りますが、本来は「獅子・狛犬」といい向かって右側が口を開いた角なしの阿像で「獅子」、左側が口を閉じた角ありの吽像で「狛犬」です。
【幣殿・本殿】 拝殿の奥になりますので東側から見ます。左側が幣殿、右側が本殿。651年創建で古代からの造りを継承した神明造。本殿は60年ごとの大遷宮の年に建て替えられます。
【船魂大神・天照皇太神社】
【伊雑宮(いざわのみや)・塩釜神社】
【青麻(あおさ)大神】
【合社(後御殿)】 伊勢神宮の神領地、御厨十七郷十九社が祀られている合社。60年ごとの大遷宮の時に建て替えられる本殿が移築され合社とされるそうです。
【参道】
二の鳥居から三ノ鳥居、そして本殿に続く境内地には椎や樫の常緑樹の大木が茂り、磐田原本来の植生が見られ静岡県ふるさと自然百景に選ばれています。隣には兎山(うさぎやま)公園もあります。駐車場もありますし森林浴も兼ね散策されてみてはいかがでしょうか。