オンラインZoomによる最終講義
先週末の赤堀教授の最終講義に続き、昨日は昭和女子大学 生活科学部 環境デザイン学科の堀内正昭教授の最終講義が行われました。
堀内教授も前ブログの赤堀教授と同様、弊社代表と同じ大学・学科の同級生です。Eメールで最終講義のご案内をいただき、受講させていただくことになりました。
堀内教授は和歌山県ご出身で、芝浦工業大学 工学部 建築工学科を経て東京都立大学 大学院に進まれ、修士課程そして博士課程を修了し、工学博士の学位を取得されました。その後1988年より昭和女子大学で教鞭をとっておられましたが、定年となられこの3月で退任されることになりました。
最終講義は 『建築史を専攻して』 の題目で行われ、堀内教授のご経歴に始まり、大学時代のヨーロッパ旅行がきっかけで建築史に興味を持たれ、それが生涯の研究テーマになられたことを話されていました。
芝浦工業大学では相田武文教授の提案により 「表現派建築の研究~創造への根源的な問いかけ」 を卒業研究のテーマにされたこと。そして東京都立大学大学院では桐敷真次郎研究室に席を置かれ、修士論文では 「カール・フリードリヒ・シンケルの建築論的研究」、博士論文では 「ドイツのルントボーゲンシュティール建築に関する研究」 をされ、その間には3年間、当時の西ドイツの大学への留学も経験されたとのことでした。
その後は昭和女子大学で教鞭をとりつつ、建築史や意匠といった分野の研究をさらに深められました。
一例として明治期から昭和戦前の西洋建築の調査研究、歴史的な建築物の保全活用に関する研究に取り組まれたとのことでした。このお話の中では建築史家の藤森照信さんを訪ねて紹介された、ベックマン著「日本旅行記」の翻訳読解をされたことや、司法省の中央合同庁舎六号館の赤レンガ棟の復原改修の設計監修をされたことなどを興味深く聴かせていただきました。
また、これらの研究とは一見趣を異にするかに思えるエッチング作品の紹介では、明治期の建築外観パースの数々から、同大の女性陣の見目姿のエッチングまで素晴らしい作品を拝見させていただきました。
【Zoom視聴.1】 画面には堀内教授。
【Zoom視聴.2】 明治期の建築及び建築案の紹介。画面は司法省(現・法務省)案。
【Zoom視聴.3】 画面には東京裁判所案。
【Zoom視聴.4】 画面には初代国会仮議事堂第二案・1階平面図の原図。昭和女子大学所蔵。
【初代国会仮議事堂に関する研究叢書】 このブックレットには前画像の初代国会仮議事堂・平面図の原図に出会った興味深い経緯や建設までの過程、復元などについて豊富な画像と共に考察が書かれています。また、堀内教授はブルーノ・タウトの国外の文献の翻訳をされたり、「明治のお雇い建築家ーエンデ&ベックマン」 を上梓されています。
弊所事務所打ち合わせコーナーの本棚に納められていますので、ご興味のある方は手に取ってみてください。
【堀内教授によるエッチング作品】
この画像は堀内教授が浜松の古民家調査の際、弊所代表がいただいたエッチング作品 「茶室(三渓園)」 です。
調べさせていただきましたが、 重要文化財 「春草廬」 という桃山時代の茶室で、京都・宇治の三室戸寺金蔵院から三渓園に移築されたもので、国宝茶室 「如庵」 と共に、織田信長の弟である織田有楽斎の作と言われているそうです。
こちらも事務所打ち合わせコーナー壁面に飾らせていただいていますので、ご来所の際にはぜひご覧ください。