古書店での出会いからオットー・ワーグナーの建築図版集
2021年 06月 26日
昨日、事務所に行った折、弊社代表から驚きの話を聴きました。
それは先日、弊社代表が知人のご主人が店主をされている『八月の鯨』という古書店を訪れ、店員の方と建築の話をされていた際の出来事だそうです。その時、古書店に居合わせた年配のご婦人が、唐突に弊社代表へ「オットーワグナーというオーストリアの建築家を知っていますか?」と話しかけられ、弊社代表は「もちろんです」と答えると、ご婦人は「うちにオットーワーグナーの版画があるから」と言われ、ご自宅に一旦帰り版画を持ってきてくださり、貴重な10枚の版画のうち8枚を譲り渡されたということです。
たまたま寄った古書店で建築の話をする弊社代表の姿に、ご婦人はこの人になら託すことが出来ると見込まれ、オットー・ワーグナーの版画集を譲り渡されたことだと思われます。人の出会いとは不思議なものだと感じますし、せっかくなのでブログに訪れる方々にも見ていただけたらと思い、エッチングによるカラー版画を全て掲載したいと思います。
ここで建築家オットー・ワーグナーですが、1841年ウィーンで生まれました。同年の日本では幕末動乱期に入ろうとする天保11年にあたります。ベルリンで古典的な建築を学び建築家となり、初期の建築には古典主義的な要素が多数見られますが、後期になると近代主義的な建築へと向かいます。まさにその建築経歴の中で古典主義から近代主義の建築までを表現した稀有な存在で、近代建築の黎明期にあたる世紀末のウィーンで活躍した建築家と言われています。
主な建築作品としては、シナゴーク(1868年)、ホヨース宮(1890-91年)、マジョリカハウス(1898-99年)、ウィーン郵便貯金局(1903-12年)、シュタインホーフ教会(1907年)などがあります。

【リーフレットケース】
オットー・ワーグナー記念館友の会 シュタインホーフ教会
※ 解説文は学生時代に使っていたドイツ語辞書を本棚の奥から引っ張り出し、訳してみました。間違っている箇所があるかも知れません、お気づきの方はご連絡ください。

【版画.1】
ウィーン芸術アカデミー中央棟のデザイン 芸術アカデミー記念ホール

【版画.2】
アスペルン付近のドナウ運河ーフェルディナンドブリュッケ ウィーン 1897年

【版画.3】
ウィーン市営鉄道 1898年 カールスプラッツ駅

優秀デザイン フランツ・ヨーゼフ皇帝 シュマイツ博物館 ウィーン芸術アカデミー

ウィーン郵便貯金局 1903年 ウィーン市博物館

【版画.6】
ホテル・ウィーンのデザイン 1910年 ウィーン市博物館

ウィーンで開催されたクラッスロンのコンペ 1914年

教会の窮状に関する研究 1915-1916年 私有財産

【古書店・八月の鯨.1】
古城跡に建つO邸に近く、古城(曳馬城又は引間城)玄黙口の由来から町名が付いた元目町(げんもくちょう)に店を構える古書店です。店で居合わせた近所のご老人の方からは「子供の頃は手前に堀があり、魚釣りをよくした」と貴重な話をお聴きし、昭和初期まで古城の水堀の名残があったのだろうかと想像し、貴重なお話を聴くことが出来たように思いました。

【古書店・八月の鯨.2
内観。店内はテーブル席もあり試し読みや歓談、喫茶も可能です。
※ 追記 (7月8日)

二枚を額装して事務所内に飾らせていただきました。実物にご興味のある方はご来所ください。
また、弊社代表はお礼に額装した版画を準備し、古書店『八月の鯨』にいつか訪れられた折に、ご婦人にお渡しいただけるようにとお願いしております。
あわせて、このサイトに掲載させていただいた事もお伝えしていただくとのことです。
改めてお礼申し上げます。

by team_baku
| 2021-06-26 11:08
| 所感・雑感
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