桶ヶ谷沼と菜の花畑
2022年 04月 10日
この時期、国道1号の磐田ー袋井間を車などで通る方は、三ヶ野IC付近の北側で桶ヶ谷沼に隣接する畑一面が、菜の花で黄色く染まる光景を目にすることがあるかと思います。私はめったに通らないので開花状況をネットで調べてみますと、種蒔きが例年より1ヶ月遅い昨年12月上旬だったため、今年の開花は若干遅れているものの3月末から徐々に咲き始め、満開に近づいているとのことで、さっそく訪れてみました。
現地に着いてみますと多くの方が見え、菜の花畑をバックに写真を撮られたりしていました。私も菜の花畑の撮影を始めましたが、徐々に近づくと独特なにおいが漂ってきて、かつて自宅の周りには畑があり、肥料のための菜の花が毎年咲き同じにおいを放っていたこと、初夏から秋にかけ色々なトンボが舞っていたことなどを思い出しました。
桶ヶ谷沼は磐田市の東部、太田川の西側、鶴ヶ池の南側に位置しています。そして沼やその周辺一帯は静岡県自然環境保全地域に指定されています。平地性淡水池沼で面積は7.43ha、平均水深が約60cmのこの沼には流入河川がひとつもなく、丘陵の斜面から伝って流れてくる雨水や、地下水によって水が枯れることがないという特徴があります。その恩恵で多くの動植物の生息に適しており、ベッコウトンボをはじめとするトンボは71種類、県内のトンボの2/3、国内の1/3の種類が確認されているということです。

南側から菜の花畑を望む。奥は磐田原台地です。

奥の桜の木の後ろが食堂・とんぼ茶屋、右側が桶ヶ谷沼ビジターセンターです。
この菜の花畑はとんぼ茶屋を経営されている方の私有地で、菜の花の結実した菜種を搾油し、菜種油に精製したり、古い菜種油から精製した燃料でトラクターを稼働させ翌年のための菜の花畑を耕したり、地域循環が図られているとのことです。

南東側から菜の花畑を望む。奥が桶ヶ谷沼、さらに奥が磐田原台地です。

北西側から菜の花畑を望む。奥が桶ヶ谷沼ビジターセンター、さらにその奥が国道1号です。

磐田市の東部、東名高速と国道1号に挟まれた低地に桶ヶ谷沼や鶴ヶ池があります。





東側入口から観察道に入りました。

東側観察道から沼を望む。





階段を登りきったら東側に神社がチラッと見え、行ってみたら鹿島神社。桶ヶ谷沼の北東、磐田原台地の中腹(標高27.7m)に立地しています。





















かつて桶ヶ谷沼の周辺には湿地帯が広がっていましたが、主に江戸時代に干拓され水田となり、沼自体が灌漑用の水源としても利用されていました。長きにわたり農地として使用されてきましたが、1950年代辺りから行政の工場誘致活動によって沼周辺の開発計画が持ち上がり、沼そのものの埋め立て計画もありましたが、長年の地域住民や自然保護団体等の努力により、1991年に静岡県自然環境保全地域に指定され、現在に至っているということです。