I邸新築工事【旧邸の大黒柱を継承する家】
2023年 12月 28日
大変ご無沙汰してしまいましたが、6月に着工していましたI邸が12月上旬に竣工しました。

【外観北西面】



【外部南西面】

【玄関土間(風除室)】

【玄関ホール】

【玄関ホール】

【玄関収納】

【洋室8帖】

【和室・居間・食堂】

【和室】

【居間・食堂・台所】

【居間・食堂・台所】

【居間・食堂・台所】

【台所】

【台所・食堂・居間】

【食堂・居間・和室】間仕切り建具は手前が3本引込みアルミハンガー戸、奥が4本引違いアルミハンガー戸です。

【洋室14帖】

【洗面・洗濯室】

【浴室】

【トイレ】

【手洗室】

【棟札】




【安間川】
I邸は浜松市東区安新町地内に位置し、北西側の前面道路は県道312号(旧東海道その後旧国道1号)で車両の通行量が多いのですが、南西側は一級河川・安間川が流れ、ほど良い自然が残るという環境に立地しています。このためこの住宅は北西面は閉じ、必要最小限の開口部とし、南西~南面は開き、連続した開口部と下屋付きの濡れ縁を設けた平面計画となっています。
この敷地には築69年になる旧邸が建っていましたが、全解体をした後、敷地を盛土かさ上げし、間伐材を有効利用した環境パイル工法による103本の杭全ての地盤支持力(長期許容鉛直支持力の2倍以上)を確認するまで圧入、その上にベタ基礎を設け、新たに木造平屋建の住宅が建てられました。また、構造材の一部は旧邸の大黒柱や梁などを再利用し、旧邸への思いが引き継がれました。この木材の継承はお施主様の願いでもありました。完成写真を掲載しましたのでご覧になってください。
そして今年も年末を迎えることになりました。本ブログをご覧になってくださった皆様方、ありがとうございました。仕事納めとして本ブログもここで今年の締めくくりとさせていただきます。
【完成写真】
撮影はP&M建築サポート・藤野和夫さんにお願いしました。

屋根:三州純いぶし平板瓦(ルーフリニア50)葺
破風・鼻隠し:桧板上小節30㎜(AAC加圧注入処理材)キシラデコール塗
軒天:不燃化粧石膏スラグ板5㎜張
外壁:構造用合板12㎜張+透湿性防水シート+通気胴縁+デラクリートセメントボード12.5㎜張+ジョリパットこて塗
軒下材:桧上小節キシラデコール塗
外構:地盤改良のうえ土間コンクリート150㎜刷毛引き 打継ぎスリット 黒玉石充填

【外観西面】
建築面積207.75㎡ 床面積182.00㎡ 間口11.12m 奥行18.20m 軒高3.645m
壁量判定値 有効耐震壁量1.0以上(桁行方向1.55 梁間方向1.56) 許容偏心率0.3以下(桁行方向0.01 梁間方向0.05)
外構工事が途中の状況写真ですが、この後残りのフェンス工事が行われました。植栽や石積みは、お施主様親戚の造園業者が今後施工される予定です。

【外観南西面】
開口部:高性能樹脂サッシ(防犯合せガラス3・0.8・3㎜+アルゴンガス層11㎜+LowEガラス5㎜)電動スリットシャッター
下屋屋根:フッ素樹脂塗装ガルバリウム鋼板0.4㎜横葺
下屋丸柱:桧磨き丸太末口105φ背割り埋木(AAC加圧注入処理材)キシラデコールクリア塗 脚部銅板包み 黒御影束石

下屋梁・軒桁・垂木:桧上小節キシラデコールクリア塗
下屋野地板:杉板上小節12㎜相ジャクリ目透かし張キシラデコールクリア塗
下屋濡縁:木質樹脂縁甲板50㎜
夏にはこの濡れ縁に簾が掛けられ、安間川の川風が流れ涼を感じる場となります。

玄関引戸から4尺(1,210㎜)の奥行にポリカーボネイト板格子戸があり、風除室の役割を有し、防犯や冬季の遠州のからっ風(北西の強い風)・車両の通行量の多い前面道路(旧東海道)からの騒音を和らげるために設けられました。

天井:杉板12㎜相ジャクリ目透かし張自然塗料プラネットカラー塗
壁:石膏ボード12.5㎜下地専用紙下貼りのうえ漆喰プラネットウォールこて塗
床:300角磁器質タイル張・合板28㎜下地無垢フローリング12㎜張
式台・上框:ケヤキ無垢材ウレタン樹脂塗
尺角(303角)のケヤキ大黒柱や松梁は解体された旧邸からの再利用材です。新築された家を再び支え守ってもらうことになりました。新材の4寸柱や巾木等は再利用材に合わせ自然塗料で着色されました。正面のステンドグラスはカサブランカをモチーフとした作品です。
また中央の松梁の上にはLEDラインライトが上向きに通され、新旧の融合で船底天井の杉板張りを照らし、間接照明の効果をもたらしています。

ホールから玄関及び、右側のポリカーボネイト板格子戸越しに玄関土間(風除室)を望む。

クローゼットドア内が下足入れ等になっています。

梁、天井板、腰板は解体された旧邸からの再利用材です。今回は梁として働いてくれる差鴨居の建具溝が、往時を思い出させてくれるものと思います。

間仕切り建具は高さ2,732㎜の4本引違いアルミハンガー戸を用いています。

内法高1,760㎜ 左から天袋付押入、仏間、神棚の並びになっています。

天井:杉板12㎜相ジャクリ目透かし張自然塗料プラネットクリア塗
壁:石膏ボード12.5㎜下地専用紙下貼りのうえ漆喰プラネットウォールこて塗
床:合板28㎜下地温水マットパネル12㎜のうえ床暖房対応無垢フローリング12㎜張


中廊下への採光のため建具・欄間には乳白のポリカーボネートツインパネル10㎜を用いています。
空調機は壁埋込型を小壁上部に設置し、冬季暖房は床暖房設備がメインになります。

天井:石膏ボード9.5㎜下地クロス貼
壁:石膏ボード12.5㎜下地施釉ケイカル板6㎜張
床:合板28㎜下地温水マットパネル12㎜のうえ床暖房対応無垢フローリング12㎜張

キッチンセット:トクラス 2209コラージア 2576×888×850


天井:石膏ボード9.5㎜下地クロス貼
壁:石膏ボード12.5㎜下地クロス貼
床:合板28㎜下地温水マットパネル12㎜のうえ床暖房対応無垢フローリング12㎜張

天井:石膏ボード9.5㎜下地クロス貼
壁:石膏ボード12.5㎜下地施釉ケイカル板6㎜張一部エコカラット貼
床:合板28㎜下地耐水フローリング12㎜張


天井:石膏ボード9.5㎜下地クロス貼
壁:石膏ボード12.5㎜下地クロス貼一部エコカラット貼
床:合板28㎜下地耐水フローリング12㎜張

天井:石膏ボード9.5㎜下地クロス貼
壁:石膏ボード12.5㎜下地施釉ケイカル板6㎜張一部エコカラット貼
床:合板28㎜下地耐水フローリング12㎜張

旧宅の小屋裏の棟木に打ち付けてあった棟札です。
1行目には「霜柱氷梁雪桁雨垂木露葺草」と書かれています。これは火伏せの歌で「霜柱、氷の梁に、雪の桁、雨の垂木に、露の葺き草」と建物の主要木材を火事と無縁な物にたとえ、火除けの願掛けとしています。
2行目には「新築家屋一棟 建築記念 大工 土工 左官 瓦葺」と書かれています。
3行目には「昭和甘十八年六月吉日」と書かれ、69年前に上棟されたことが確認できます。

【旧邸.1】
大黒柱。

【旧邸.2】
大梁、大黒柱。

【外観パース】

敷地南西側を流れる安間川。冬期は水量も少なくシラサギが訪れていますが、夏季の大雨の際には堤防上部付近まで水位が上がるそうです。
by team_baku
| 2023-12-28 16:46
| 専用住宅
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